著者と作品

ペッレグリーノ・アルトゥージ(1820年‐1911年)

 フォルリンポーポリ(現エミリア=ロマーニャ州)生まれ。故郷がならず者の集団に襲撃を受けたことから、1852年にフィレンツェへ移住して、そこで企業家として活躍する。1870年に仕事から引退すると、従来から進めていたイタリア古典の研究に本格的に取り組んだ。また、料理のレシピを集めて、当サイトで紹介している『調理の知識とおいしく食べる方法』を1891年に出版している。


『調理の知識とおいしく食べる方法』

 アルトゥージの主著である『調理の知識とおいしく食べる方法』は、1891年に初版が刊行され、その後も改訂と増刷が繰り返された。最後の改訂版は790種類のレシピを扱っており、イタリアの食文化にとって非常に重要な位置を占めている。この作品が時代をこえて影響力をもっていることは、現在でもこのレシピ集が書店で容易に手に入れられることからもわかる。

 アルトゥージはさまざまな逸話なども本文に織り込んでおり、この作品は文学としても評価されている。さらに19世紀末というイタリア統一直後で日常的には方言が使われており、識字率がまだ低かった時代において、多数の読者を得たこの作品は標準的なイタリア語の普及にも役立った。


参考文献:

Claudio Marazzini, La lingua italiana. Profilo storico, Bologna, 2002.

Massimo Montanari, Il sugo della storia, Bari-Roma, 2018.

Piero Zama, ARTUSI, Pellegrino, in Dizionario biografico degli italiani (http://www.treccani.it/enciclopedia/pellegrino-artusi_(Dizionario-Biografico)/).