618 サラーメ・イングレーゼ
(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(619)
618 サラーメ・イングレーゼ
このお菓子は詰め物をしたスポンジと呼んだほうが正確で、菓子店のショーウィンドーではとても見栄えがする。職人の技を知らない人には、秘密の高い技術が必要な一皿に見えるだろう。だがこれをつくるのはまったく難しくはない。
以下の分量でスポンジをつくるが、オーブンで焼くためには可能であれば四角いオーブン皿で指半分の高さに広げる。オーブン皿はバターを塗って、小麦粉を振っておく。
粉砂糖 二〇〇グラム
とても細かい小麦粉 一七〇グラム
卵 六個
これや似たようなものについては、小麦粉を太陽か火に当ててよく乾かすようにすすめる手引きもある。おそらくもっと軽くするためだろう。
卵の黄身を砂糖と約一時間混ぜる。そこによく泡立てた白身を合わせ、ゆっくりと混ぜたら、小麦粉を小さなふるいから落とす。もしくは588番で示した方法に従う。
オーブンから出し、熱いうちに、そこから十分な数の細長い生地を切り出す。幅は二センチほどで、長さはスポンジの一切れほどにして、そこに中身を入れる。だがこの細長い生地を印象的にするためにはさまざまな色でなければならない。そこで、いくつかは白いロゾリオで軽く湿らせて黄色くする。いくつかはアルケルメスで湿らせて赤くし、残りにはチョコレートを漬けた白いロゾリオで黒くする。このように準備した細長い生地を別のもの変えながら一枚ずつ、そのままの大きさにしておいたスポンジの真ん中に並べる。その表面には最初に液状の果物のジャムを塗り付け、さらに細長い生地にも塗り付け、まとまるようにする。スポンジの端を持ち上げて生地の上に持っていき、すべてがまとまった巻物にする。それを薄くきると、中身がさまざまな色の格子模様になる。
このお菓子は家庭向きには次の方法でもっと簡単につくれる。大きなオーブン皿でも半分の量で充分だ。
スポンジにロゾリオとジャムを塗る。リンゴ、アプリコット、モモのいずれでも大した問題ではない。その上に薄く切った砂糖漬けを散らし、紙のように全体を巻き込む。だがどちらの方法でも、見た目をさらによくするには、菓子職人がするように、表面を砂糖細工か薄いチョコレートで飾る。だがその方々には独特の秘密の方法があって、簡単には教えてはくれない。だが私はその難しくて優れた特別な進め方を知っており、それは789番で説明する。その前には、次のもので満足しておいてもらうが、これはもっと簡単だが、まったく完璧というわけではない。
粉砂糖を卵の黄身に混ぜ、とても固い状態にし、お菓子の上に均一に広げるか、クロワッサンの形にした紙に入れてから絞って底の小さな穴から出るようにし、お菓子の上に回しかけて気に入った模様をつくる。皮を黒くするのであれば、砂糖六〇グラムとチョコレートの粉三〇グラムを用意して、混ぜ、同様に卵の白身と混ぜ、その混ぜたものをお菓子に塗る。自然に乾燥しなければ、控えに温度が上がる場所に置く。
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