619 シエナのカヴァッルッチ

(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(620)


619 シエナのカヴァッルッチ

 シエナ独特のお菓子といえば、パンフォルテ、リッチャレッリ、カヴァッルッチ、クパーテだ。カヴァッルッチはモスタッチョーロの形をした小さな焼き菓子で、その大きさは下に示す。そういうわけで、馬(注:イタリア語ではカヴァッロ)の形はまったく関係ないことがわかってもらえるだろう。なぜこのように呼ばれるのかについては、「塔、鐘、槍競技の三つのもので満たされるシエナ」でもわからない。


カヴァッルッチ(訳注:図形は省略するが、編注によると原著では四五ミリ×三〇ミリ)


 このレシピで私はどうやってまねするかを示したいが、すべてきっちりとしてもらいたいわけではない。だいたい味がそのとおりであればそれでよいので、手を加えるのは好きにしてよく、自然なことだからだ。立派にやっていて、関係者以外に秘密のやり方があるところでは、真似ることなど絶対にない。


  小麦粉 三〇〇グラム

  金色の砂糖 三〇〇グラム

  皮をむいたクルミ 一〇〇グラム

  オレンジの砂糖漬け 五〇グラム

  アニス 一五グラム

  香料とシナモン粉 五グラム

  カラスノエンドウほどの大きさに砕いたクルミ

  オレンジは小さなダイス状に切る


 砂糖をその三分の一の重さの水と火にかけ、糸を引くまで火を入れたら、そこに材料すべてを入れ混ぜ、混ぜたものを熱いまま台の上の小麦粉にかけて、練り込む。だがこれをするには、もっと小麦粉が必要だとわかるだろう。その小麦粉は練り物を固くするために使う。それからカヴァッルッチの形をつくる。この分量で四〇個以上できるが、砂糖のためにこの生地はくっつきやすいので、表面に小麦粉を振る。オーブン皿にそれを載せ、そのまま低めの温度で焼く。砂糖の焼き加減には十分注意する。焼きすぎると、黒くなってしまうからだ。親指と人差し指で少しとったときに、糸を引くようであれば、これに使うには十分だ。

Progetto Artusi

Progetto per una traduzione giapponese di "La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene" di Pellegrino Artusi

0コメント

  • 1000 / 1000