4 肉のソース

(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(11)


4 肉のソース

 ロマーニャはトスカーナのすぐ近くにあり、ポケットにふすまを入れているので、肉のソースを黒っぽいブイヨンとよぶ。この名前はたぶん色から来ているが、実際には栗の色に似ている。

 このソースについては、腕のよい料理人がつくるのを見て学ぶのがよい。それでも、私の指示に従えば、絶妙とまではいかなくても、すくなくともまあまあのものができるだろう。

 シチュー鍋の底に塩漬けした豚の脂身かバラ肉(後者が好ましい)の薄切りを敷き詰め、その上に大きなタマネギひとつ、ニンジン一本、セロリ茎一本をみじん切りにしてのせる。あちこちにバターのかけらを散らし、それらの材料の上に雄牛の赤身のこま切れを置くか同じ肉の切れを広げる。雄牛の肉はどの部分でもよい。むしろ、習慣としては、費用を抑えるために、血の残っている首の肉や質の良くない肉をつかう。こうした質の良くない肉のことをフィレンツェの肉屋はパラトゥーラとよんでいる。もしあれば、皮やその他の台所に残っている肉を切って加える。ちゃんと食べられるものであれば、どんなものでもよい。調味料には塩とクローブ二本だけをつかい、シチュー鍋を火にかけるが、火が鍋に届かないようにする。

 タマネギが焦げるにおいがしてきたら、肉をひっくり返す。肉に焼き色がよくついたら、もとい黒っぽくなったら、小さなお玉に入るくらいの水を注ぐ。これを三回繰り返し、じょじょに水分を飛ばす。最後に、たとえば肉が五百グラムであれば、シチュー鍋に一・五リットルの水を注ぎこむ。そうでなければ、こちらのほうがよいのだが、海綿状の骨のブイヨンを使う。それから、ゆっくりと沸騰させ、五時間から六時間かけてソースを煮詰めて、肉からすべてのエキスを抽出する。それを裏ごしして、脂が表面に薄い層をつくって固まったら、それを取り除いて、ソースが胃にやさしくなるようにする。このソースは何日か保存しておけるので、さまざまな使い道があり、おいしいマッケローニのオーブン焼きをつくることもできる。

 鶏の首と頭を細かく切って雄牛の肉に加えれば、味がさらによくなる。

 肉の残りは、水分が抜けてはいるものの、使いまわして家庭用の肉団子をつくることができる。

Progetto Artusi

Progetto per una traduzione giapponese di "La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene" di Pellegrino Artusi

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