(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(149)


 卵は肉に次ぐ栄養の素だ。著名な哲学者、モーリッツ・シフは、フィレンツェで教壇に立っていたときに白身には黄身よりも栄養があることを示した。黄身は脂肪分でできていて、生卵やほんの少ししか加熱していない卵はほかの調理法よりも消化がよくない。というのも、胃はひとつではなくふたつの処理をしなければならなくなるからだ。ひとつめは固める処理で、ふたつめは消化できるようにする処理だ。というわけで、好ましいのは中間をとることだ。つまり、加熱は少なすぎても、多すぎてもよくない。

 春は卵の味がもっともよくなる季節だ。新鮮な卵を妊娠している女性に飲ませるし、人々は卵が新婚の夫婦のためによいと考えるようになる。

 私が知っていたある宿屋の主人の息子は、かつて体が大きく、太って、頭の回転が悪い若者だった。その若者は悪い生活習慣のために健康を損ねてしまい、医者にかかることになった。医者は毎朝、生卵を二つ飲むように命じた。よい面と悪い面があったが、宿屋には鶏小屋があったので、その若者はそこに行って雌鶏が生みたての卵を飲んでいた。だがよくあることだが、時間がたてば別の考えが浮かぶものだ。この療法をはじめて数日後、この考えなしの若者は次のように思った。「卵二つがよいなら、四つならもっといいだろう」と。そこで、卵を四つ飲み込んだ。そして、「四個がよいなら、六個なら最高だろう」と朝、六個を飲むことにした。このようにして数が増えていった結果、日に一二個から一四個になってしまった。そしてとうとうその効果があらわれた。激しい消化不良を起こした若者は寝込んでしまったが、飲み込んだ卵をどうにかするのにどれほど時間がかかったのかは知らない。

Progetto Artusi

Progetto per una traduzione giapponese di "La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene" di Pellegrino Artusi

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