240 栗の粉をつかったミリアッチョ、俗にいうカスタニャッチョ

(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(251)


240 栗の粉をつかったミリアッチョ、俗にいうカスタニャッチョ

 ここでも、我々イタリア人に勤勉をいとわないという気が薄弱なことに苦言を呈さずにはいられない。イタリアのいくつかの地域では栗の粉はまったく知られておらず、誰もその使い方を取り入れてみようとはしていないようだ。しかしながら、庶民や風当たりの強さを気にしない人にとって、栗の粉は安価で、健康によく、栄養豊富な食べ物なのだ。この点について、私はロマーニャの安物売りの女に尋ねてみたことがある。このミリアッチョについて説明してから、私はそれを売っていくらか稼いでみないかと聞いてみた。「なにがお望みなんですか」その女は私に答えた。「甘すぎますよ。誰も食べようとはしないですよ」「ここで売っているコッタローネが甘くないというのですか? それでもよく売れるでしょう」私は答えた。「少なくとも試してみてください」私は付け加えた。「基本的には若い人を対象にして、お金を取らないでいくらか渡して、気に入るようになるか確かめてください。そうすれば、だんだんと大人にも届くようになるかもしれません」私の主張はもっともなはずだったが、壁に向かって話すようなものだった。

 コッタローネというのは、知らない人もいるだろうが、リンゴやナシのことだ。とくによく熟れて、鍋に入れてオーブンで火を入れたもので、これをつくるときには水をごく少量入れて、濡らした布で口を覆う。さて、このミリアッチョの非常に簡単なつくり方をみることにしよう。

 栗の粉を五〇〇グラム用意する。この粉はねばつきやすいので、こねる前にふるいにかけて柔らかくなるようにする。それから容器に入れて、ほんのわずか塩を入れる。そうしたら、八デシリットルの冷水を少量ずつ入れてしみこませ、粉が液体状になるようにする。そこに松の実を一つかみ入れる。人によっては松の実に砕いたクルミを加えるが、干しブドウとそれに加えてローズマリーの葉をいくらか加える人もいる。

 ここでオーブン皿を用意して、そこにミリアッチョをだいたい指一本半の厚さにして置くが、底に薄く油を引いておく。さらに油をスプーン二杯をオーブン皿に入れた生地の上に散らす。業務用オーブンで焼くが、家庭用で二つの火元の間に入れてもよい。熱いままオーブン皿から出す。

 この生地でフリッテッラをつくることもできる。

Progetto Artusi

Progetto per una traduzione giapponese di "La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene" di Pellegrino Artusi

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