367 膀胱に入れた去勢雄鶏
(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(369)
367 膀胱に入れた去勢雄鶏
私はロバの美徳で武装していると言われるかもしれない。仕方がないが、四回試して成功せず、五回目と六回目でようやく膀胱に入れた去勢雄鶏をうまく料理できたと知ったらそうなるだろう。最初の四回は食卓の神コモの犠牲になった。というのも、必要なあらゆる注意を払ったわけではなかったので、ゆでている間に膀胱が破れてしまったのだ。だが、これは没頭する価値のある料理だ。去勢雄鶏はそれだけで極上なのに、こうやって料理すると絶妙な味になるからだ。
牛の膀胱をひとつ用意する。これは豚のものよりも耐久力があるからだ。膀胱は大きくて、厚みがあり、傷がないものにする。それをぬるま湯でよく洗って、一日か二日水に漬ける。去勢雄鶏の内臓を抜いて、首と足を落として、内側に塩を多めに一つかみ振り、ももの先を内側に入れ、羽を折って胴体にくっつけて先が膀胱破らないようにする。それから、腹と首の開いた部分を縫い付けて、全体を脂身よりも赤身が多いハムの薄切り一五〇グラムでくるみ、去勢雄鶏にくっつけてひもで縛る。このようにして準備ができたら膀胱に入れるが、膀胱に必要なだけ切り込みを入れて、最後にきっちりと縫い付ける。
次に、最低でも手のひらほどの長さの葦の管を用意する。これは空気を通すために使うので、先を首の細い瓶のようにくちばし状にして、下側に切り込みを入れて、膀胱の上の部分に差し込んで縛る。この道具を使って、去勢雄鶏を鍋に入れた温まりかけの湯に入れて火にかけ、三時間ゆで続ける。管は外に出しておく。だが、十分に気をつけてもらいたい。ここに難題がある。お湯は小さくてまれな泡が浮かんでくるのが見えるだけにしなくてはならない。管から脂やそれ以外の液体を噴き出してきても気にせず、それを小さな浅鍋に集めておく。去勢雄鶏に十分火が通ったら、お湯に入れたまま冷まして、翌日食卓に出すが、ハムは取り除く。味がすべて失われてしまっているからだ。去勢雄鶏の内部にはゼラチンなどが残っているので、適当な付け合わせが欲しければ、それも添える。これで、君侯にもふさわしい冷製料理ができる。去勢雄鶏がなければ、太った雌の若鳥も使える。
知らせておくのがよいだろうが、私が最後に使った膀胱は豚のもので、牛のものよりも熱に強かった。
0コメント