ロースト
(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(521)
ロースト
串に刺したローストは、丸ごとのセージが合う鳥とハトを例外として、豚の脂身を差し込んだり、油をかけたり、ニンニク、ローズマリーや、いやな感じがしてのどに戻って来てしまいがちなそのほかの香草を刺したりすることはもはやない。油がおいしい場所ではこの液体を使い、そうでなければラードやバターを使う。そうした場所では、地域の事情によって、こうした調味料のなかでも、あるものよりも別のものを優先するのが習慣だからだ。
ローストは一般に味が濃いものが好まれ、乳のみ雌牛、羊、子ヤギ、家禽、豚の肉には相応に惜しみなく塩を使ってよいが、大きな肉と野鳥にはもっと少なくする。こちらの肉はそれ自体かなり味が濃いからだ。ともかく、塩をするのはいつでも、調理が半分もしくは三分の二のところでだ。どんなローストでも串に刺す前に塩をしてしまうのは大きな間違いだ。そうすると、火がローストの水分を奪ってしまうというよりはパサパサにしてしまう。
豚や乳をのんでいる動物の肉は、乳のみの雌牛、羊、子ヤギなどと同様に、よく火を入れて、余分な水分を飛ばさなければならない。雄牛と去勢羊はもっと少なく火を入れる。こちらの肉は水分が少なく、肉汁を残さなければならないからだ。野鳥は直火で焼くが、あまり火が届きすぎないように気を付ける。そうすると肉にあまり香りがなくなってしまう。だが血が出てこないように気をつけてもらいたい。これについては、羽の下を刺してみればわかる。鶏でもちょうどよい火の通り具合かは、同じ方法で刺して肉汁が出てこないかでわかる。
鶏肉をより柔らかく、よりよい色にするには、紙に包んでローストする。紙は肉にくっつく部分にあらかじめバターを塗っておく。紙が燃えてしまわないようにするには、外側にもよく油を塗っておく。火が半分通ったところで、紙を取り除いて、鶏や七面鳥などに塩をして油を塗る。
この場合、好ましいのは、あらかじめ内側に塩を入れてから串に刺して、七面鳥やホロホロチョウの雌の胸肉に塩漬けした豚の脂身を差し込んでおくことだ。ここで注意しておくのがよいが、若いハトと太った去勢雄鶏は、ローストでもゆでたものでも、冷えても温かくてもとてもおいしく、それほどいやな感じがすることがない。
ローストした肉は、ほかのどんな方法で料理したものよりも栄養がよく保持され、消化もよい。
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