43 米の漁師風
(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(51)
43 米の漁師風
若かりし頃、私はある馬商人と長い旅に出かけた。それはロヴィーゴで市が開かれる時期のことだった。二日目の夜、それは土曜日だったが、同行者がよく訓練したおかげでずんずんと進む馬で長時間走り続けた後、我々は疲労と空腹を抱えてポレゼッラにたどり着いた。当然ながら、最初に世話されたのは我々の馬だった。それから、我々は地面がむき出しの広い部屋に入ったが、そうした部屋は似たような宿の多くで調理場と食堂として使われている。「何が食べられるかね?」友人がおかみに尋ねた。「なにもありませんね」とおかみは答えたが、すこし考えてから付け加えた。「明日のために何羽か鶏をしめたので、米ならできるかもしれません」「その米をつくってくれ。すぐに」我々は答えた。「食べる気ならいくらでもある」おかみは準備を始めた。私はそこにじっとして、どうやって米を手早く料理するのかに注意を向けていた。
おかみは一羽の鶏をぶつ切りにして、頭と脚を取り除いた。それからその肉をフライパンに入れたが、フライパンではすでに脂身の塩漬け、ニンニク、パセリに色がついていた。さらにバター一かけらを加えてから塩と胡椒で味付けして、鶏肉によく火が通ったら、その肉を鍋で沸騰しているお湯に入れ、米を投入した。火からおろす前にパルミジャーノを大きく一つかみ加えて味を整えた。巨大な米の一皿が目の前に並べられるのを見ないわけにはいかなかった。しかし我々は皿の底を目にすることができた。というのも、この米はミネストラとしても、前菜としても、おかずとしても出すべきものだからだ。
さて、ポレゼッラのおかみがつくった絶品の米について、次のように言っておきたい。脂身の塩漬けがそれほどよいものでなく赤身がかっているのであれば、その代わりに塩漬けした豚バラを細かく切ったものを使える。トマトのソースかピューレを合わせるのも悪くはない。米を鶏とうまく合わせるには、加熱しすぎてもいけないし、水分が多すぎてもいけない。
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