235 パン粉のマッケローニ

(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(246)


235 パン粉のマッケローニ

 アレクサンドル・デュマが言うように事実だが、イギリス人がローストビーフとプディングだけで生きている。オランダ人はオーブンで焼いた肉、ジャガイモ、チーズだけで、ドイツ人はザワークラウト、燻製にした豚の脂身だけで、スペイン人はヒヨコマメ、チョコレート、においの強い豚の脂身だけ、イタリア人はマッケローニだけで生きている。このマッケローニに私がたびたびそして嬉々として戻ってくるとしても、それは驚くに当たらない。おまけにマッケローニはいつでも私を満足させてきた。むしろ、そのために私は「マッケローニ喰らい」という異名をとる寸前までいったのだが、どうしてそうなったのかについて、ここで述べよう。

 私はボローニャにある「三人の王」という食堂にいた。それは一八五〇年のことで、何人かの学生とそのうちの一人の友人であるフェリーチェ・オルシーニに同伴していた。その頃、ロマーニャではいつも政治と陰謀の話でもちきりだった。オルシーニはまさにそのために生まれたような人で、夢中になってそうした話をして、次には暴動が起こり、その先頭に立つことになるのが自身と何人かの名前を挙げた指導者であり、武器を手にボローニャを駆けるだろうと熱を込めて懸命に私たちに示そうとした。公の場でこれほど無思慮に、非常に危険な議論と私には狂気の沙汰にしか思えない計画を語るのを聞いて、私はその話から距離を置いて、静かに目の前のマッケローニの料理を食べるのに専念することにした。こうした態度はオルシーニの熱い思いに傷をつけて、不愉快な気持ちを持ち続けることになった。オルシーニは私のことを思い出すといつでも、友人たちに尋ねていた。「マッケローニ喰らいはどうしている?」

 いまでもきのうのように覚えているが、その愉快な若者は中背でほっそりとしていて顔は丸くて血色が悪いが、端正な顔つきで、目は真っ黒、毛はちぢれていて、若干舌足らずなところがあった。何年もたってから別の機会にメルドラのカフェでその若者と行き当たったが、そのときはある人への怒りに身を震わせていた。その人から信頼につけこまれ、名誉を傷つけられたので、ある若者にフィレンツェまで追跡して、その物言いに従えば協力してやるためとのことだったが、その若者が模範的な復讐を遂げるようそそのかしていた。

 一連の出来事や事件はどれもが負けず劣らず奇妙なものだったが、その結果、若者は後に誰もが知っていて残念に思っている例の悲劇的な結末を迎えた。しかし、そうした一連のことがナポレオン三世がイタリアに到来する後押しをしたのだろう。

 本題に戻ろう。


  長いマッケローニで長くゆでられるもの 三〇〇グラム

  小麦粉 三〇グラム

  バター 六〇グラム

  グルイエーラチーズ 六〇グラム

  パルミジャーノ 四〇グラム

  牛乳 六デシリットル

  パン粉 適量


 味が濃いほうが好みであれば、味付けの量を増やす。

 マッケローニを半ばまでゆで、塩を加え、裏ごし器の上で水を切る。シチュー鍋でバター半分と小麦粉を火にかけ、かき混ぜ続ける。色が付き始めたら、少しずつ牛乳を入れ、十分ほど沸騰させる。それからこのバルサメッラにマッケローニとおろすか細かくしたグルイエーラを入れ、シチュー鍋をコンロの縁に移動して、ゆっくり沸騰させて牛乳が濃縮するようにする。それから残りのバターとおろしたパルミジャーノを加える。さらに耐熱の容器にそれを注いで、その上にいっぱいになるまでパン粉を入れて全体を覆う。

 ここまで準備ができたら、田舎風オーブンに入れるか、鉄製の蓋をかぶせて上から火にかけるかして、よく火が通ったら、熱いうちに提供して、中間の皿とするか、もっとよいのは肉料理に添える。

Progetto Artusi

Progetto per una traduzione giapponese di "La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene" di Pellegrino Artusi

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