11 パナータ
(翻訳)ペッレグリーノ・アルトゥージ『調理の知識とおいしく食べる方法』(19)
11 パナータ
このミネストラはロマーニャで復活祭のお祝いのときに食べるが、そこではトリドゥーラとよばれている。この言葉の意味はトスカーナでは消えてしまっているが、十四世紀初頭にはまだ使われていた。ある古い羊皮紙には、受けている保護に感謝するためにやることに言及があるが、それは毎年、カファッジョーロ(フィレンツェ)にあるセッティモの托鉢修道士たちの住居に木製のたらいに一杯にしたトリドゥーラを送ることだった。そして、そのたらいの上には数本の木の枝で支えた、ローリエを添えた豚肉十リッブラが載せてあった。この世界ではあらゆるものが古びて変化するが、それは言語や言葉も変わらない。だが、ものを構成する要素はそのままだ。このミネストラの場合、その要素は次のとおりだ。
余ったパンを押しつぶさずくずしたもの 百三十グラム
卵 四個
パルミジャーノ・チーズ 五十グラム
ナツメグ
塩 少量
幅の広いシチュー鍋を用意し、その中であまり固くならないように上述の材料を混ぜ合わせたものをつくり、必要であればパンをさらに加える。それを適度に温めたブイヨンで溶かし、若干の量をあとで加えるために残しておく。
遠火の炭で下からわずかに加熱し、沸騰が始まったらお玉でへりから離して崩さないように真ん中に集めるようにする。固まったら、スープ皿に移して出す。
この分量で十分、六人分になる。
パナータがうまくできたら、全体が房状のかたまりとそのまわりにある透明なブイヨンになっているのがわかるだろう。好みに応じて、香草を入れたり、別にしたエンドウ豆に火を通しておいてブイヨンに溶かす前に混ぜ込んだりするとよい。
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